明治24年創業
こだわりの味噌・醤油
女将の「豆まめ通信」
昭和49年8月号
1974年8月 味噌通信
先々代 ~ 先代 ~ 母に・・・
お店の前のチェリーセージです。ちょっと折っただけで香りが立ち、暑さを和らげてくれるさわやかさです。先代はこういった新しい草花を残してくれています。自分の育てた花々が美しい時期になると、必ず分析のビーカーに切った花を挿してお店や事務所に持ってきてくれた人でした。
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スイカが東西に2つに分かれるという表現はスイカのまん丸と地球の球体が重なる思いがします。
この文章をPCに打ち込んでくれるのは、先代の連れ合い、母です。母がこれを打ってくれる時に先々代の難しい言葉、難しい漢字に悉く閉口しているようです。しかし、今回は、近ごろ急に増えたコレステロールは、コーヒーの飲みすぎかしらね?!と祖父の文章をじっくり読み込みながらタイピングしてくれたようです。それにしても難しい漢字ばかりと、今朝早々に起きてやってくれたようでした。
◆1974年8月号「味噌通信」
《本文》
両断の西瓜たふる東西に 草城
焼けつくような暑さ、疲れきってた体も我が家に戻り冷え切った大きな西瓜に、包丁をいれ一家だんらんスイカのだいご味をたたえるのも夏ならではの風情でごさいます。
夏は一般に発汗が多く、体内の水分調節には色々と共に苦労します。水・・・冷たいジュース・・・・・お湯・・・・お茶・・・・・コーヒー等・・・・・夏場の、飲み物は実に数え切れないほど多く、小柳 達男博士も、飲み物について次のように解読されています。
中国人は、アメリカ人より血中コレステロ-ルが低く、アメリカ人は多く
コ-ヒ-を飲むのに比べ、中国人は緑茶をもとめている。お茶には、血中脂質を減らす作用があるが、コ-ヒ-にはその反対の働きを示す。お茶は、緑茶と紅茶があり、緑茶は、砂糖が入らない。コーヒ-を飲むと、カフェインによって、血中脂肪が増え、タバコと一緒に飲むと、更に悪く、一般にコ-ヒ-党は、心筋梗塞になる傾向はみられる。コ-ラ-にもカフインがふくまれている。
やはり日本人は、昔ながらの緑茶に、味噌汁は日常生活の楽しさを増し、長寿への基本線ではないでしょうか。
この間、偶然、清津峡温泉祭りを耳にしたので、是非一度と思い、上信越高原国立公園の清瀬峡を深勝しました。豪壮雄大な閃緑紛岩の岩礁美と幾千丈重畳果てない柱状の壮麗さ、山峡にそびえ立つ、屏風岩、美しい白眉の殿堂は、淡青色の自然の渓流と相俟って、将に日本三大渓谷の偉観と申されましょう。この地は未だ人煙稀少、三軒の旅館と、民宿しかなく、素朴の中にも、昔ながらの、アユ、コイ、山菜に恵まれ、焼きたての、アユ、鯉のあらい(刺身)に酢味噌赤味噌を使っての鯉こく、山菜のおに付けに、茹で茄子に、紫蘇みそ添えての田舎料理、食の洋風化している中に、山の幸、川に幸、と心ゆくまで味うことができたこと、清津峡の思い出でした。